「酒さ(しゅさ)」という言葉をご存じでしょうか。
その名の通り、まるでお酒を飲んで酔っ払っているかのように、顔の皮膚が赤くなってしまう症状のことです。
酒さは、見た目に目立つため、できるだけ早く治したいと悩んでいる人も多いはず。
ただ、自己流の間違ったケアでは、症状が改善しないだけでなく、悪化して手術になる危険性もあります。
この記事では、酒さの原因と治し方についてご紹介します。正しいケアを知って、本来の肌の色を取り戻しましょう。
酒さとは?
顔が赤くなって目立つとき、その原因としては、
- 毛細血管拡張症
- 赤面症
- 酒さ
が挙げられます。
毛細血管拡張症は、肌内部の毛細血管が拡張したまま戻らなくなり赤みが強くなる状態、赤面症は精神的な緊張や動揺により顔が赤くなる状態です。
そして、酒さは顔の皮脂を分泌している「皮脂腺」の増殖に伴い、毛細血管も増殖してしまい、赤みが強くなる状態です。
まとめると、それぞれの原因は、
- 毛細血管拡張症 :毛細血管の拡張
- 赤面症 :精神的な緊張・動揺
- 酒さ :皮脂腺の増殖に伴う毛細血管の増殖
となります。
酒さは、その症状の度合いによって、第1期~第3期まで分かれています。
第1期
鼻・頬・あごなどの顔の中心部から赤み・ほてりが発生し、数時間~数日持続する。
第2期
ニキビのような発疹が現れ、数週間持続する。
第3期
鼻がいびつに盛り上がるほどに赤く大きくなる鼻瘤(びりゅう)の症状が現れる。
酒さを見分けるには
第1期の酒さは、毛細血管の拡張を伴っています。そのため、酒さの症状の一部として、毛細血管拡張症が現れることもあります。
しかしながら、単なる毛細血管拡張症と明らかに異なる点は、酒さの原因には「皮脂腺」が関わっているということです。
そのため、悪化するとニキビのような発疹や鼻瘤に発展してしまいます。
この点は、あくまで「肌表面の赤み」に症状が留まる、毛細血管拡張症や赤面症と違う点です。
また、よく見られるケースとして、鼻が大きく赤くなってしまうので、本人にとっては強い苦痛を伴います。
もし、肌の赤みとともに、肌がベタベタとして皮脂過剰な感じがしたり、ニキビ・吹き出物が出やすいと感じたなら、酒さの可能性を考えてみてください。
酒さは、長期間に渡って、徐々に悪化していく疾患です。
「酒さかもしれない」と気付いたら、悪化しないうちに治療を始めることが必要になります。
酒さの原因
実は、なぜ皮脂腺が増殖して酒さを発症してしまうのか、ハッキリとした原因は、まだ分かっていません。
ただし、次のようなものが影響を与えているとされています。
- 遺伝
- 紫外線ダメージ
- 皮膚の免疫異常
- 温熱・冷気の影響
- 化粧品・薬などによる化学的な刺激
- 過度な飲酒
- 皮膚に存在する菌・ダニ
遺伝は「生まれ持った体質による」ということですが、酒さは白人に多い傾向があるため、遺伝の要素が大きいのではないかと考えられてきました。
ところが、最近は日本人でも酒さになる人が増えています。そのため、生活習慣や食事の変化による影響もあると見られています。
また、その他に挙げた要因は、どれも悪化因子の一つとして考えられているものです。
これらが直接的な原因となるとは解明されていませんが、一つ一つの要因が重なっていくと、酒さを発症させたり、悪化させたりする可能性があるのです。
酒さを治すために大切なこと
「酒さ」の概要については、ご理解いただけたでしょうか。
ここからは酒さの治し方についてご紹介しますが、「自分は酒さではないか?」と不安に思っている人にお願いしたいことがあります。
それは、「まず病院を受診すること」です。酒さを治すためには、医療の力が不可欠です。
まずは皮膚科を受診する
もちろん病院に頼らず、自分で治したいと思う人も多いでしょう。
しかし、酒さは完治させるのが難しい「慢性疾患」です。
放置したり、逆に間違ったケアを行ったりすれば、最終的には鼻が変形するほど悪化してしまうこともあるのです。
長い年月を掛けて進行していくため、できるだけ早く、症状がこれ以上悪化しないように、医療の力を借りてコントロールすることが大切です。
初期段階で治療を開始していれば、鼻瘤にまで至ることなく、症状を沈静化させることができます。
市販の化粧水やクリームでのケアではなく、まずは皮膚科を受診して、専門家の判断を仰ぎましょう。
皮膚科では、抗菌作用のある塗り薬や、抗生物質の飲み薬を利用した治療が行われます。
また、第3期以降まで進行している場合は、形成手術が行われることもあります。
自分でできるセルフケア
酒さを治すには医療の力に頼るのが第一ですが、日常生活の中で自分でできるケアもたくさんあります。
専門医の元で治療を受け、医師の指導を受けながら、自分でも酒さを悪化させる要因を取り除いていきましょう。
紫外線を徹底的にカットする
酒さを悪化させないためには、日焼け止め・帽子・日傘を使って、毎日確実に紫外線をカットしましょう。
日差しが強い夏だけでなく、一年中を通して紫外線対策が必要です。
曇りの日・雨の日も紫外線対策を
曇りの日や雨の日は、雲が太陽の光を遮るので、日差しは地上に届きませんが、紫外線は雲を突き抜けて地上に届いています。
外出する場合は、必ず日焼け止めを塗るようにしてください。
室内でも油断禁物
室内であっても油断はできません。
地上に届く紫外線には「UVA」「UVB」の2種類がありますが、このうちのUVAは窓ガラスを通過して室内にも入ってきてしまいます。
カーテンやブラインドをしたり、UVカットフィルムを貼ったりすれば、紫外線カットができます。
また、車を運転する機会が多い人は、車の窓の紫外線カットも行いましょう。
肌を清潔に保つ
酒さの原因の一つに、「ニキビ菌」や「顔ダニ」があるという説があります。
これらは、健康な肌にも存在するものなので、菌やダニがいるからといって不安に思うことはありませんが、増え過ぎると酒さの原因になり得ます。
ニキビ菌や顔ダニを増やさないためには、肌を清潔に保つことが大切です。
殺菌効果のある洗顔料を使う
ニキビ用の洗顔料の多くは、ニキビ菌の除去を狙って殺菌機能があるので、そのような洗顔料を選ぶと良いでしょう。
朝晩、殺菌効果のある洗顔料で洗うことで、ニキビ菌や顔ダニの抑制が期待できます。
おすすめは、「カビ」「細菌」の除去を目的として開発され、@cosmeでコスメベストアワードにもランクインしたのが「コラージュフルフル」です。
体にも顔にも使えて、カビにも細菌にも対応しています。
不潔な手で触らないように注意
無意識のうちに鼻や頬を触る癖がある人は、その癖を改めましょう。
不潔な手で触ることで、雑菌が繁殖して、酒さが悪化してしまいます。
顔に触るときは「ハンドソープで手をよく洗ってから」を習慣化してください。
肌にやさしい化粧品を選ぶ
化粧品に含まれる成分の中に、自分にとって合わない成分が入っていると、酒さがひどくなってしまうことがあります。
できれば、通院している皮膚科で保湿クリームを処方してもらったり、取り扱っている化粧品の中からおすすめのものを選んでもらうようにしましょう。
赤みの原因へアプローチする化粧水を使ってみる
酒さを改善するには、適切なスキンケアが必要不可欠。そこでおすすめなのが、化粧水のしろ彩です。
しろ彩には、「海洋性エキス」という美容成分が含まれており、肌へアプローチし、赤みやすい肌のキメを整えます。試しに28日間使用した人の86%が、赤みや水やすい肌によかったと応えています。
さらに、ショウガ根茎エキス、甘草、茯苓、センキュウなどの厳選成分で赤みがかった顔をケアしてくれます。
公式サイトなら、30日間の返金保証付きで購入できるので、試してみることをおすすめします。



ワセリンがおすすめ
皮膚科で相談するのが難しい場合、一番安全なのは「ワセリン」による保湿です。ワセリンは、皮膚科でも赤ちゃんの肌荒れの保湿剤として処方されます。
ワセリンの良いところは、配合成分がシンプルなことです。
市販の化粧品は、箱に印刷されている「全成分」を確認すると分かるように、30~50以上もの成分が配合されています。
そのため、自分に合う成分・合わない成分を確認したり、それを排除したりすることが難しいのです。
一方、ワセリンは、ほぼワセリンのみしか配合されていません。
ワセリンの塗り方のコツ
ワセリンは指で少量を取って手のひらに伸ばし、両手のひらをこすりあわせるようにして温めてから、保湿したい場所にごく薄くのばすのがコツです。
塗り過ぎると、逆に肌の負担となることがありますので、注意しましょう。
顔全体に使うのは、耳かき1~2杯分で十分です。
付け過ぎてしまったり、ベタつきが気になったりする場合は、ティッシュで軽く押さえるようにして、余分な油分を除去するようにします。
なお、ワセリンは多くの人にとって刺激なく使用できる保湿剤ですが、中には合わない人もいます。
ワセリンを使うことで赤みがひどくなったり、肌荒れしたりした場合は、使用を中止して医師に相談しましょう。
温度差の激しい場所を出入りしない
極端に暑い場所・寒い場所を出入りすることは、皮膚に大きな負担をかけてしまいます。
酒さにとっても悪影響となるので、避けるようにしましょう。
特に、真冬の寒い時期に、凍える寒さの屋外と暖房で温まった屋内を頻繁に出入りするような行動は、酒さが一気に悪化する要因にもなりかねません。
できるだけ寒暖の差を少なくするために、
- 屋外ではマフラー・マスク・ネックウォーマーを着用する
- 屋内では暖房の温度を上げすぎない
ということを心掛けてください。目の下まですっぽりとカバーできるタイプのネックウォーマーも便利です。
画像引用:Amazon
また、冬期の自転車・バイクは、顔に冷たい風が直撃します。
できるだけ乗る機会を少なくするか、生活上どうしても乗らざるを得ない場合は、直接外気が当たらないように顔の防寒をしっかりしましょう。
アルコール・カフェイン・香辛料・甘いものを避ける
酒さの人にとって、
- アルコール
- カフェイン
- 香辛料
- 甘いもの(糖質)
は、症状を悪化させる引き金になりかねないものです。
また、酒さの症状が出る前に、この4つの内のどれかに、依存的にハマってしまっていたケースも多くあります。
限界を超えるようなお酒の飲み方、一日に何杯もコーヒーを飲む生活、何にでも唐辛子をかけるような食生活、甘いものの食べ過ぎなど、心当たりはないでしょうか?
これらは、全て酒さにとっては刺激となってしまいます。
完全に断つのは難しくても、自制心を持って控えるだけで、大幅に酒さの進行スピードが変わってきます。ぜひ、この4つには注意してください。
熱い食べ物・飲み物・お風呂を避ける
熱い食べ物・飲み物を口に入れた後、カッカと顔全体が熱くなった経験はないでしょうか?それは、顔の皮膚にとって刺激となっています。
熱い食べ物・飲み物が大好きだという人も、酒さの治療のためには、「冷ましてから」食べることを心掛けてください。
また、同様に熱過ぎるお風呂も、酒さにとってはよくありません。入浴は、38度程度のぬるめのお湯で行うようにしましょう。
過剰な皮脂を増やさない食生活
皮脂が過剰に出ることも、酒さを悪化させる原因となります。
皮脂は、食事から摂る脂質の量に比例して増える傾向があるので、できるだけ脂質を控えた低脂質の食事を心掛けましょう。
次のような食べ物は、脂質の多い代表的なものです。
- クロワッサン・デニッシュパン・菓子パン
- カップ麺
- サーロインなどの脂身の多い肉・フォアグラ・サラミ・ベーコン・鶏皮
- 生クリーム・チーズ・バター
- ポテトチップス・チョコレート・ビスケット・ドーナツ
どうしても脂質の多い食べ物を食べたいときは、最初に野菜やきのこ、海藻を食べるようにしましょう。
これらの食べ物に含まれる「食物繊維」が余分な脂質の吸収を妨げてくれます。
また、最初に食べておくことで満腹感が早く得られ、脂質の多い食べ物の食べ過ぎを防いでくれます。
ストレスを抱え込まない
心がストレスを抱えると、体はギュッと固く緊張し、血管は収縮します。
酒さは血管の拡張も症状として見られるので、「収縮なら良いのではないか?」と思うかもしれません。
しかし、収縮した後にあるのは、反動でより大きくなった拡張が起きるのです。
実は「ステロイド剤」の副作用でも酒さが起きるケースがあります。
これはステロイド剤によって血管が収縮した状態が長く続くため、その反動で血管拡張が起きるためです。
日常生活の中で血管を収縮させてしまう「ストレス」は、酒さの大敵なのです。
ストレスは吐き出して放す
ストレスを一人で抱え込まずに、悩みは吐き出すように心掛けてください。心の中にモヤモヤを放置せず、「自分の外に出す」ことが大切です。
- 話しやすい人に話す
- 紙に書き出す
- カウンセラーなどの専門家に話す
このように、何らかの形で「アウトプット」することで、それだけでスッキリしたり、絡まっていた自分の心がほどけたり、思考が整理されたりします。
「話すは放す」といわれるように、アウトプットは自分の悩みを手放す有効な手段です。
悩みを吐き出すことで、ストレスのない毎日を送れるように、心のケアを行っていきましょう。
まとめ
酒さは治りにくいものの、適切な治療とセルフケアで、悪化を阻止して徐々に治していくことは十分に可能です。
そのためには、まずは皮膚科を受診するとともに、自分にできるケアをコツコツと続けていってください。


